市販薬で対応できるケースと、早めに受診すべきケースを見分けることが大切です
「急に下痢と嘔吐が続いている。市販の整腸剤で様子を見てよいのか、病院に行くべきか迷っている」そんな経験はありませんか? 胃腸炎は軽症から重症まで幅があり、脱水や細菌感染が隠れている場合は早めの対応が必要です。
このような症状はありませんか?
以下の症状に当てはまる方は、受診の目安としてご参考ください。
- 急な下痢が何度も続き、トイレから離れられない
- 嘔吐が止まらず、水分も受けつけない
- 発熱を伴い、体がだるい
- 生もの・外食などによる食あたりが心配
- 下痢と腹痛が強く、血便が混じる
- 冬場に家族内で同じ症状が広がっている
- 子どもや高齢者で脱水が心配
- 下痢・嘔吐が3日以上続いている
脱水は特に高齢者・子どもで危険です。水分が取れない場合は早めにご相談ください。
原因について
胃腸炎の原因はウイルス・細菌・食事など多様です。
ウイルス性胃腸炎(最も多い)
ノロウイルス・ロタウイルスなどが原因です。水のような下痢、何度もの嘔吐が特徴で、感染力が非常に強いとされています。多くは数日で自然に改善します。
細菌性胃腸炎(食中毒)
サルモネラ・カンピロバクター・腸炎ビブリオなどが原因です。高熱・強い腹痛・血便が特徴で、抗生物質が必要なケースもあります。「食べたもの」の問診が非常に重要です。
食事性(暴飲暴食・刺激物)
脂っこいものや刺激物の後に起こる軽い腹痛・下痢です。多くは数日で自然に回復します。
薬剤性(抗生物質など)
抗生物質の服用で腸内細菌のバランスが崩れ、下痢が長引くことがあります。
診断方法
症状の出方・食歴・周囲の流行を詳しく確認し、必要に応じて検査を行います。
問診・身体診察
症状の出方、食歴、周囲の流行状況、脱水の程度を確認します。
血液検査
白血球・CRPで炎症の強さ・脱水の有無を評価します。
尿検査
脱水度・腎機能を確認します。
便検査
血便・細菌感染が疑われる場合に行います。
腹部超音波
腸の炎症・胆のう・膵臓の異常を評価します。
当院での治療
原因と症状の程度に応じて治療内容が異なります。
ウイルス性胃腸炎の場合
基本は水分補給と安静です。整腸剤・吐き気止め・解熱鎮痛薬を処方します。なお、「下痢止め」はウイルスの排出を妨げることがあるため、ウイルス性には使用しないことが一般的です。
細菌性胃腸炎(食中毒)の場合
高熱・強い腹痛・血便がある場合は受診が必要です。必要に応じて抗生物質を使用します。市販薬では改善しないことが多いです。
脱水が心配な場合
経口補水液(OS-1など)を少量ずつ頻回に飲みます。嘔吐が強い場合や高齢者・子どもでは点滴治療を行います。当日から点滴対応が可能です。
「すぐに症状が取れる」という保証はできませんが、症状に合った治療をご提案します。
治療期間・通院の目安
回復期間は原因によって異なります。
- ウイルス性胃腸炎:多くは1〜3日で嘔吐が落ち着き、3〜5日で回復します。
- 細菌性胃腸炎:症状に応じて抗生物質を3〜7日間服用することがあります。
- 脱水が強い場合:数日点滴通院が必要になることがあります。
- 症状が長引く場合:5日以上続く場合は再診をおすすめします。
個人差がありますので、改善しない場合は早めにご相談ください。
放置するとどうなるか
胃腸炎を放置すると、以下のリスクがあります。
- 脱水・電解質異常:口が渇く、尿が出ない、意識がぼんやりするなど重篤な状態になることがある
- 腎機能低下:脱水が長引くと腎臓への負担が増す
- 細菌性腸炎の悪化:溶血性尿毒症症候群(HUS)など重篤な合併症に至ることがある
- 低栄養・体力低下:高齢者・子どもでは入院が必要になることがある
水分が取れない状態が続く場合は、早めに受診してください。