初期ほど症状が少ない「静かに進む病気」です。健診の数値が気になる方は早めにご相談ください
「健診で血糖値が高めと言われたが、症状がないから大丈夫」と思っていませんか? 2型糖尿病は初期にほとんど自覚症状がないまま、目・腎臓・神経・心臓にじわじわとダメージを与えます。早期発見・早期治療が将来の合併症を防ぐための最も重要な一歩です。
このような症状はありませんか?
糖尿病の初期はほとんど無症状ですが、以下のサインに心当たりがある方は要注意です。
- 健康診断で「血糖値が高い」「HbA1cが高め」と言われた
- なんとなく疲れやすく、夕方にだるさを感じる
- のどが渇きやすく、水分をたくさん飲むようになった
- トイレの回数が増えた(多尿)
- 体重が増えてきた、または最近急に減ってきた
- 家族に糖尿病の方がいる
- 40代を過ぎて体調の変化を感じる
- 足のしびれ・視力の低下が気になってきた
糖尿病は「症状が出てから受診」では遅いことがあります。健診の数値が気になる段階で早めにご相談ください。
原因について
2型糖尿病が起こるメカニズムと主な原因を整理します。
インスリン抵抗性・分泌低下
食事後に上がった血糖を下げるインスリンが「十分に出なくなる」または「効きにくくなる」状態が続くことで血糖値が高いまま維持されます。
生活習慣
食べすぎ・運動不足・脂肪の多い食事・夜遅い食事・甘い飲み物が内臓脂肪を増やし、インスリンが効きにくい体を作るとされています。
加齢
40代以降は誰でも少しずつインスリンの働きが弱くなります。
遺伝・家族歴
家族に糖尿病がある場合、発症リスクが高まることが知られています。
ストレス・睡眠不足
ホルモンバランスの乱れが血糖値を上げやすくします。
他の病気・薬
ステロイド薬・ホルモン異常・肝臓病・膵臓の病気が原因になることもあります。
診断方法
以下の検査を組み合わせて診断します。
血液検査(HbA1c・血糖値)
HbA1cは過去1〜2ヶ月の平均血糖を反映する最も重要な指標です。空腹時血糖・食後血糖とあわせて総合的に評価します。
尿検査
尿糖・尿タンパク・潜血の有無を確認し、腎臓の状態を評価します。
腎機能・肝機能
合併症のリスクや背景疾患を確認します。
脂質検査
糖尿病と脂質異常症は同時に進行することが多く、セットで評価します。
必要時:動脈硬化評価(ABI・頸動脈エコー)
合併症の早期発見に役立ちます。
当院での治療
糖尿病治療の基本は「生活習慣の改善+必要に応じた薬物治療」です。
食事療法
食事の順番(野菜→タンパク質→炭水化物)・糖質の量と質の調整・夜遅い食事の回避・清涼飲料の制限が重要です。「食事7割、運動2割、薬1割」と言われるほど食事の影響が大きいです。
運動療法
ウォーキングなどの有酸素運動を週3〜5回、1回30分を目標にします。インスリンの効きを改善する効果があります。
薬物治療(必要な場合)
- メトホルミン:基本薬でインスリン抵抗性を改善
- SGLT2阻害薬:体重減少・心臓・腎臓の保護効果
- GLP-1受容体作動薬:食欲抑制・体重減少が期待できる
- DPP-4阻害薬:低血糖が少なく使いやすい
- インスリン治療:血糖が著しく高い場合に使用
患者さんの生活スタイルや優先したい効果(体重・心臓・腎臓)を丁寧に相談しながら選択します。
治療期間・通院の目安
糖尿病は継続的な管理が必要な慢性疾患です。
- 治療開始初期:1〜2ヶ月に1回の通院で血糖・HbA1cを確認します。
- 安定したら:2〜3ヶ月に1回の定期通院で経過を観察します。
- 合併症の確認:年1〜2回、眼底検査・腎機能・神経の評価を行います。
- 生活改善で数値が改善した場合:薬を減量できることがあります。
自己判断での服薬中止は血糖の急上昇を招くことがあります。必ず医師にご相談ください。
放置するとどうなるか
糖尿病を放置すると、血糖が高いまま血管・神経にダメージが蓄積し、以下の合併症が起こることがあります。
- 糖尿病性網膜症:視力低下・失明(糖尿病による失明は成人失明原因の上位)
- 糖尿病性腎症:蛋白尿・腎機能低下→透析が必要になることがある
- 糖尿病性神経障害:足のしびれ・痛み・感覚鈍麻→足壊疽のリスクがある
- 心筋梗塞・脳梗塞:動脈硬化が進行し、血管が詰まる
- 感染症に弱くなる:免疫機能が低下し、傷が治りにくくなる
「三大合併症(目・腎臓・神経)」の予防のために、早期から血糖をコントロールすることが最重要です。