動悸・体重変化・倦怠感が続くとき、甲状腺ホルモンが原因のことがあります
「最近心臓がドキドキする」「疲れやすくてむくみが取れない」という症状が続いていませんか? 甲状腺のホルモン異常は全身の代謝に影響するため、心臓・体重・気分など多様な症状として現れます。血液検査で原因を調べることで、症状が改善することがあります。
このような症状はありませんか?
以下の症状に心当たりがある方は、甲状腺ホルモンの検査をおすすめします。
- 動悸や息切れがあり、少し動いただけで心臓がドキドキする
- 疲れやすく、最近体重の増減が大きい
- 首の前側が腫れてきたように見える
- 手が震える、汗が多い、体が落ち着かない
- 逆に、寒がりで体が重く、むくみやすくなっている
- 月経不順や抜け毛が増えてきた
- 健診で「甲状腺の数値異常」を指摘された
- 心房細動が出て、甲状腺検査を勧められた
甲状腺の病気は「年齢のせい」「疲れのせい」と見逃されやすいです。気になる方は血液検査で確認しましょう。
原因について
甲状腺の代表的な病気「バセドウ病」と「橋本病」は、どちらも免疫の異常が関係していると考えられています。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
免疫の異常により甲状腺に「働きすぎろ」という刺激が入り続け、甲状腺ホルモンが過剰に作られます。動悸・息切れ・手の震え・体重減少・暑がり・発汗・落ち着きのなさ・心房細動などが特徴です。女性に多く、心臓への負担が大きくなるため早期治療が重要です。
橋本病(甲状腺機能低下症)
免疫が甲状腺を攻撃して働きを弱めるタイプです。ホルモンが不足し、疲れやすさ・寒がり・むくみ・体重増加・便秘・気分の落ち込み・皮膚乾燥・月経異常などが現れます。症状がゆっくり進むため「加齢のせい」と思われやすいです。
その他の甲状腺疾患
無痛性甲状腺炎・亜急性甲状腺炎・甲状腺腫瘍なども甲状腺の異常として現れることがあります。
診断方法
血液検査と必要に応じた画像検査で診断します。
血液検査(甲状腺ホルモン)
TSH(甲状腺刺激ホルモン)・FT3・FT4・各種抗体(TRAb・TPOAb・TgAb)を組み合わせて診断します。
頸部超音波(エコー)
甲状腺の大きさ・腫れ・しこりの有無などを確認します。
心電図
特にバセドウ病では心房細動・頻脈が起こることがあるため、必ず評価します。
当院での治療
原因によって治療が大きく異なります。
バセドウ病の治療
通常は薬物療法(抗甲状腺薬)から開始し、ホルモンの過剰産生を抑えます。薬で管理が難しい場合は放射性ヨード治療や手術を検討します。心臓に負担がかかっている場合はβ遮断薬で脈を整えます。
橋本病(機能低下症)の治療
甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン)を補充します。血液検査で量を微調整しながら進めます。ホルモンを補うと疲れやすさ・むくみ・体重増加・気分の落ち込みなどが改善することが多いです。
「必ず治る」という保証はできませんが、適切な治療で症状を大幅にコントロールできます。
治療期間・通院の目安
病状によって治療期間は異なります。
- バセドウ病(薬物療法):治療開始後1〜2ヶ月で数値が改善します。通院は1〜3ヶ月に1回が目安です。
- バセドウ病(寛解を目指す):薬を2〜5年継続し、ホルモンが安定したら減量・中止を検討します。
- 橋本病:ホルモン補充を継続しながら年数回の血液検査でフォローします。
- 妊娠希望・妊娠中:より密な管理が必要です。早めにご相談ください。
自己判断での服薬中止は症状の急激な悪化を招くことがあります。
放置するとどうなるか
甲状腺疾患を放置すると、以下のリスクがあります。
- バセドウ病の放置:心房細動・心不全・骨粗しょう症・甲状腺クリーゼ(命に関わる緊急状態)
- 橋本病(機能低下)の放置:動脈硬化の進行・心不全・妊娠への影響・粘液水腫昏睡(重篤)
- 甲状腺腫瘍の見逃し:悪性腫瘍の発見が遅れることがある
動悸・倦怠感・体重変化が続く場合は、甲状腺ホルモンの検査を受けることをおすすめします。