「一時的な胸痛」と「壊死を伴う胸痛」——冠動脈疾患の正しい理解と早期対応
狭心症は冠動脈が狭くなり一時的に心筋への血流が不足する状態、心筋梗塞は完全に閉塞して心筋が壊死する状態です。胸痛の性質・持続時間・ニトロの効き方を知っておくことが、命を救う判断につながります。胸に気になる症状がある方は、東静岡たけもと内科へご相談ください。
狭心症・心筋梗塞を疑う症状
以下の症状に心当たりがある方は、ご受診をお勧めします。
- 歩いたり階段を上ると胸が締め付けられる(労作性狭心症)
- 安静時に突然胸痛が起きる(不安定狭心症・冠攣縮性狭心症)
- 胸の痛みが数分で自然に治まる(狭心症の特徴)
- 胸痛が20分以上続く(心筋梗塞の可能性)
- ニトログリセリンで痛みが治まる(狭心症)・治まらない(心筋梗塞)
- 左肩・腕・顎・背中に痛みが広がる(放散痛)
- 冷汗・吐き気・息苦しさを伴う胸痛
「最近、少し歩くと胸が重い」という症状は狭心症の早期サインかもしれません。
狭心症と心筋梗塞の違い
2つの疾患は冠動脈疾患として連続していますが、重要な違いがあります。
狭心症
冠動脈が狭窄し、需要増加時(労作・ストレス)や攣縮時に一時的に血流が低下します。心筋は壊死せず、症状は数分〜15分で回復します。ニトログリセリンが有効です。
不安定狭心症
安静時にも発作が起きる・短期間に増悪するタイプ。心筋梗塞への移行リスクが高く、緊急評価が必要です。
心筋梗塞(STEMI・NSTEMI)
プラーク破裂により血栓が形成され、冠動脈が完全閉塞します。心筋が壊死し、痛みは20分以上続きます。迅速なPCI(経皮的冠動脈インターベンション)が必要です。
冠攣縮性狭心症(Prinzmetal型)
動脈硬化がなくても、冠動脈が攣縮(スパズム)することで起きます。夜間〜早朝に多く、日本人に多いタイプです。
診断方法
狭心症の診断は「症状の評価」と「画像・機能検査」の組み合わせが基本です。
安静時・負荷心電図
発作中はST変化が現れます。トレッドミル負荷試験で労作時の虚血を確認します。
心エコー・心筋シンチグラフィ
負荷心エコー・負荷シンチで虚血部位を特定します。
冠動脈CT・冠動脈造影(CAG)
冠動脈の狭窄部位・程度を詳しく確認します。CAGは専門施設で行います。
血液検査(トロポニン)
心筋梗塞の診断に必須。心筋壊死があればトロポニンが上昇します。
当院での治療・管理
安定狭心症の管理と、退院後の継続治療を担います。
薬物療法
硝酸薬(ニトロ)・β遮断薬・カルシウム拮抗薬・抗血小板薬・スタチンを組み合わせます。冠攣縮性狭心症にはカルシウム拮抗薬が特に有効です。
危険因子の管理
高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙のコントロールが最重要です。
専門施設への紹介
不安定狭心症・心筋梗塞が疑われる場合は緊急搬送します。安定狭心症でもカテーテル治療(PCI)・冠動脈バイパス術(CABG)の適応評価のため専門施設へご紹介します。
治療期間・通院の目安
- 狭心症の薬物療法:長期(生涯)継続が基本
- 安定期の外来:1〜3か月ごと
- PCI後:1か月・3か月・6か月・1年の定期フォロー
- CABG後:主治医・当院での継続管理
心臓病の治療は「症状が治まっても続ける」ことが重要です。自己中断は再発・死亡リスクを高めます。
放置するとどうなるか
- 安定狭心症→不安定狭心症→心筋梗塞へ進行
- 心筋梗塞による心機能低下→慢性心不全
- 心室細動による突然死
- 再梗塞・ステント再狭窄
胸痛は「一時的だから大丈夫」と放置せず、必ず評価を受けてください。